医療機関を受診した際、「この料金は妥当なのか?」、「あの検査は必要だったのか?」と疑問に思ったことはありませんか?
診療報酬制度は非常に複雑で、医療従事者でさえ細かく把握できている方は少ないため、患者としてはよくわからないまま支払いを済ませてしまうケースが多いのではないでしょうか。
中には、本人の同意が不十分なまま検査や処置が進められたり、自費診療を提案されるなど、違和感を覚える場面もあるようです。
今回は、こうした“合法ぼったくり”のようなトラブルを避けるために、安心して通える良心的な医療機関を見極める5つのポイントをご紹介します。
口コミを見るときは“この言葉”に注目!★の数より中身!
一番手軽なのはGoogleマップやCaloo(カルー)などの口コミを見ることです。
ただ口コミを見ると言っても、中には「高評価の口コミを投稿してくれたら割引にする」というクリニックもあるので、高評価の★の数は無視していいです。
しっかり見るのは口コミの中身で、その中でも特に「この言葉があったら注意」というワードがあるので、それらをご紹介します。
過剰な検査・治療の兆候
- 「○○だけで行ったのに採血された」
- 「薬をもらうだけのつもりが点滴された」など
「花粉の薬が欲しいだけだったのに、アレルギー検査のために採血される」、「下痢と吐き気で受診したら点滴される」などのケースがあります。
採血や点滴をすると追加で診療報酬が取れるため、患者一人当たりの単価が高くなります。
これに目をつけて、患者への十分な説明、意志確認をせずに、「採血もやっておきましょうか」と流れで進めようとする医師が存在します。
自分が何のアレルギーがあるのか知りたくて受診するならいいですが、ただ薬が欲しいだけなら、こういった口コミがある場合は注意した方が良いでしょう。
自費診療の押し売り傾向
- 「ビタミン点滴をすすめられた」
- 「プラセンタを受けるよう強く言われた」など
「風邪がなかなか治らない、最近疲れが取れない」など言うと、ビタミン点滴やニンニク注射に誘導されるケースがあります。
「軽い疲労感なら、にんにく注射やビタミン点滴を受けていかれる方が多いですよ」、「今日すぐ打てますし、15分くらいで終わります」、「疲れがたまってるときにやっておくと楽になりますよ」などと言って勧めるようです。
本当に元気になる可能性もありますが、自費でビタミン点滴するくらいなら、市販のビタミン剤を飲んでしっかり寝た方が高コスパで健全です。
組織の信頼性に疑問があるケース
- 「高評価の口コミが不自然に多い」
- 「毎回先生が変わる」など
高評価の口コミが不自然に多いのは、高評価の口コミ投稿をしてくれた患者は支払いを割引している可能性があります。
実際に私の友人で、「ADHDの検査を受けに精神科に行ったら、高評価の口コミを投稿してくれたら5000円割引すると言われた」という人がいました。
また毎回先生が変わるのは、バイトの医師で回していて常勤医がいない、もしくは少ない可能性があります。
大きな病院なら、先生が毎回変わるのも仕方ない部分はありますが、町のクリニックでそれなら、適切なカルテが作成されておらず、前回の医師が処方している薬をそのまま脳死で処方しているケースも多いです。
風邪などで単発の受診ならそれでも問題ありませんが、定期で通う「かかりつけ医」を探すならこういったクリニックは避けた方が無難でしょう。
近くの薬局にこっそり聞いてみよう!“本音の評判”が分かる一番の方法
こちらは少しハードルは高いですが、口コミよりも説得力があります。
薬局では患者さんの話を聞く機会が多く、近隣のクリニックの情報をたくさん持っています。
私も薬剤師として勤務していて、処方箋の内容や、患者さんの話から、「この先生はヤブだな」と思ったり、逆に「このクリニックは患者さんにすごく丁寧に説明してくれているな」と感じることが多々ありました。
近隣の薬局で「最近、体が痒いんだけど、このあたりでおすすめの皮膚科はありますか?」など聞いてみましょう。
薬局も近隣クリニックとの関係があるので、あからさまに「あそこのクリニックは金儲け主義だからやめた方がいい」とは言えないと思いますが、「実際どうなんですか?」と聞けば、何かしら教えてくれるのではないかと思います。
まれに金儲け主義のクリニックとズブズブの関係にある薬局もあるので、1か所だけでなく複数の薬局で聞き込みをすることをお勧めします。
ホームページで自費診療を前面にアピールしている医療機関は要注意
「自費診療」は医療機関で価格を自由に決められるため、収益性が高くなります。
自費診療の内容としては、プラセンタ、にんにく注射、白玉注射、高濃度ビタミンC点滴、血液クレンジング、がんの幹細胞治療などが挙げられます。
ホームページのトップでこれらのワードが目立つようなら、そのクリニックは金儲けの意識が強い証拠です。
もし勧められても跳ね返せば問題ないですが、避けられるなら最初から避けた方が無難でしょう。
ブログやコラムを更新している医療機関は“まじめに医療”している証拠
ホームページの院長ブログやコラムページで、日々の勉強した内容を発信している医療機関は、まじめで信用できる傾向があります。
以前に医薬品メーカーでMRをしていた私の経験上、こういう医師はエビデンスを重視して治療薬を選ぶ傾向があるため、根拠あるかよくわからない自費診療を勧めることはないと言っていいでしょう。
それはそれで、悪く言うと「偏屈」なこともあるので、今度は「性格が合う合わない問題」が出てきますが、少なくともぼったくられることはないでしょう。
大病院と連携しているかどうかは“信頼できる医療機関”かの重要な指標
大病院の連携医療機関になっているところは「地域医療に貢献しようとする姿勢がある」と見なせるので、良心的である可能性が比較的高いです。
大きな病院は連携医療機関のリストを公開していることも多く、そこから確認できます。
例として、東大病院の連携医療機関の一覧です。
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/participants/touroku/
このリストに載っていて、なおかつクリニックのホームページにも「当院では必要に応じて紹介状を作成しています」などの記載があれば、地雷のクリニックを踏む確率はかなり下げられるのではないでしょうか。
まとめ|良心的な医療機関を見極めるには“受診前の情報チェック”がカギ!
医療機関を選ぶとき、私たちはつい「近いから」「ネットで評判がいいから」と安易に決めてしまいがちです。
でも、本当に信頼できる医療機関に出会えるかどうかは、健康やお金を守るうえで大きな違いになります。
受診前に少しだけ立ち止まって、今回ご紹介した5つのポイントをチェックすることで、余計な出費や不安を避けることができるかもしれません。
すべてチェックするのは大変という方は、ぜひ口コミの「要注意ワード」だけでも確認してください。
それだけでも事故にあう確率を減らせるはずです。
また今回、紹介したのはあくまで「ぼったくりを避けるための選び方」であり、先生との「性格が合う合わない問題」は別の話になるので、こればかりは受診して確かめるしかありません。
次に病院を選ぶときの参考になれば幸いです。
それでは。